
「倉庫にも業務用エアコンを設置すべき?」「最適な選び方を知りたい」などと疑問を抱えていませんか。情報が不足しており、判断に迷う方も少なくありません。近年は気温上昇の影響で、倉庫における業務用エアコンの必要性が高まっています。従業員の熱中症対策や製品品質の維持に欠かせない設備です。本記事では、倉庫向け業務用エアコンの必要性や機種の特徴、選び方、導入費用の目安、設置手順を解説します。自社倉庫に適した機種を導入したい方は参考にしてください。
倉庫におけるエアコンの必要性は年々高まっています。背景として、夏の平均気温上昇が挙げられます。気象庁によると、日本の夏季(6?8月)の平均気温は、長期的に100年あたり約1.38℃上昇しています。
日本の夏(6?8月)の平均気温は、様々な変動を繰り返しながら上昇しており、長期的には100年あたり1.38℃の割合で上昇しています。
加えて、倉庫は断熱性が高くないケースが多く、夏場は外気に影響され庫内温度が上昇しやすい傾向があります。従業員の健康管理や保管製品の品質維持のため、空調の導入が重要です。
業務用エアコンには、さまざまな種類があります。倉庫に設置できる主な種類は以下の通りです。
【倉庫に設置できる主な種類】
ここでは、各種類の特徴を解説します。
室内機を天井から吊り下げるように設置するタイプです。風量が強く、足元まで風を送れるため、倉庫のような天井が高い建物に向いています。また、以下の点も特徴として挙げられます。
【特徴】
取り付けにかかる手間とコストを抑えられます。天井に設置するため、作業の邪魔にならない点も魅力です。ただし、一方向しか風を送れません。倉庫では、片側の壁面に天井吊形の業務用エアコンを並べて、空気を循環させることが一般的です。
室内機を床に設置するタイプです。天井や壁に設置スペースを確保できないときに向いています。主な特徴は以下の通りです。
【特徴】
原則として、短期間で設置できます。高所での作業が必要ないため、日々のメンテナンスを手軽に行える点も魅力です。ただし、設置場所によっては作業の邪魔になることがあります。作業導線を考えてから、設置場所を決定することが重要です。
室内機を壁面に設置するタイプです。天井や床に設置スペースを確保できないときに向いています。外観は家庭用エアコンと似ていますが、業務用ならではの冷暖房能力を備えます(能力は製品で異なります)。主な特徴は以下の通りです。
【特徴】
フィルター掃除などのメンテナンスを手軽に行える製品が少なくありません。ただし、室外機との関係で設置場所に制約を受けることがあります。壁掛形の業務用エアコンは、主に小規模な倉庫で利用されています。
倉庫に設置する業務用エアコンを選ぶときに意識したいポイントは以下の通りです。
【選び方】
各ポイントについて詳しく解説します。
倉庫内の環境により、適している業務用エアコンや設置できる業務用エアコンは異なります。たとえば、天井が高い倉庫は、風量に優れる製品が多い天井吊形が向いています。ただし、天井にスペースを確保できないと設置できません。床置形は天井と壁面、壁掛形は天井と床にスペースを確保できない倉庫に向いています。また、作業の邪魔にならないように、業務用エアコンの形状を選ぶことも大切です。床置形を設置できる環境であったとしても、作業導線によっては天井吊形や壁掛形のほうがよいこともあるでしょう。さまざまなシミュレーションをして、室内環境に適した形状を選ぶことが大切です。
メンテナンス性の高い業務用エアコンを選ぶことも大切です。メンテナンスは原則として専門業者に依頼しますが、フィルター掃除をはじめとする簡単なメンテナンスであれば自社でも対応できます。こまめなメンテナンスに期待できるメリットは以下の通りです。
【メリット】
一般的に、床置形や壁掛形は、メンテナンス性が高いと考えられています。高所での作業を必要としないためです。自社が管理しやすい業務用エアコンを選びましょう。
業務用エアコンを導入すると、イニシャルコストとランニングコストがかかります。トータルコストを確かめてから、導入する製品を選ぶことも重要です。イニシャルコストとランニングコストの内訳は次の通りです。
| 項目 | 内訳 |
| イニシャルコスト |
|
| ランニングコスト |
|
工事内容によっては、設置工事費用が本体購入費用を上回ります。家庭用エアコンとは費用感が異なるため、見積もりをとって確かめておくことが重要です。ランニングコストは、使い方により変動します。完全にコストをなくすことはできないため、無理なく支払えることを確かめておきましょう。
業務用エアコンの適切な馬力は、設置場所の広さや用途、環境により異なります。たとえば、飲食店で使用する場合は、厨房で発生する熱や換気の影響を考えて馬力を選ばなければなりません。倉庫に適した馬力の目安は以下の通りです。
| 倉庫の広さ | 馬力の目安 |
| 7~8坪(22~25㎡) | 1.5馬力 |
| 8~9坪(28~31㎡) | 2.0馬力 |
| 11~12坪(35~39㎡) | 2.5馬力 |
| 13~15坪(44~50㎡) | 3.0馬力 |
| 19~21坪(62~70㎡) | 4.0馬力 |
| 24~27坪(78~88㎡) | 5.0馬力 |
| 27~30坪(89~100㎡) | 6.0馬力 |
| 28~43坪(94~142㎡) | 8.0馬力 |
| 36~54坪(119~178㎡) | 10.0馬力 |
自社の倉庫に適した馬力を確かめたい方は、専門業者にご相談ください。
業務用エアコンを導入すると次の費用などがかかります。
【主な費用】
各費用について解説します。
導入費用は、本体購入費用と設置工事費用で構成されます。設置工事費用は、業務用エアコンの形状、馬力、設置環境、室内機と室外機の距離などで大きく変動します。たとえば、4.0馬力以上の業務用エアコンは、三相200Vの電源を必要とするため、電気工事を要することがあります。個別に見積もりをとって、導入費用を確認することが大切です。一般的な導入費用の目安は100~200万円程度といえるでしょう。
業務用エアコンを導入すると、電気代が新たにかかります。電気代も、業務用エアコンの使用時間、馬力、設定温度、倉庫の広さ、断熱性能、気温などにより変動します。電気代の目安を示すことは困難ですが、中規模程度の倉庫であれば1カ月あたり1~2万円程度かかることが多いでしょう。省エネ性能が高い業務用エアコンを選びたい場合は、COP(成績係数)を参考にできます。COPは、一定の温度下におけるエネルギーの消費効率を表す値です。具体的には、以下の計算式で求められます。
【COPの計算式】
この値が高いほど、1kWあたりの冷暖房効果が高いと考えられます。
業務用エアコン導入後は、メンテナンス費用もかかります。具体的な金額は、業務用エアコンの形状やメンテナンスの内容により異なります。メンテナンス費用の目安は以下の通りです。
| 形状 | メンテナンス費用(クリーニング) |
| 天井吊形 | 30,000~40,000円 |
| 床置形 | 25,000~35,000円 |
| 壁掛形 | 10,000~20,000円 |
クリーニングを受ける頻度は、1~3年に1回程度が目安です。また、2~3カ月に1回程度のフィルター掃除なども求められます(※フロンガスを使用している製品はフロン排出抑制法に基づく簡易点検、定期点検も必要です)。自社で対応する範囲を増やすとメンテナンス費用を抑えられます。
不具合や故障にともなう修理費用もかかります。過酷な環境で長時間使用するため、倉庫に設置した業務用エアコンは不具合や故障が発生しやすいと考えられています。修理にかかる金額は、ケースによりさまざまです。1回あたり数十万円程度かかることが多いでしょう。また、販売開始から年月が経過して、修理できなくなることもあります。このようなケースでは、新しい業務用エアコンへの買い替えが必要です。
業務用エアコンを設置する基本的な流れは以下の通りです。
【設置の流れ】
ここでは、各ステップについて解説します。
適切な業務用エアコンを選択するために、導入の目的を明らかにします。倉庫の用途などにより、求める条件は異なるためです。たとえば、従業員の快適性を高めたい場合は、作業スペースを効率よく冷やしたり温めたりできる製品が向いているでしょう。精密機器を保管する場合は、温度だけでなく湿度も適切にコントロールできる製品が必要になるかもしれません。具体的な検討を始める前に、何のために導入するかを考えましょう。
導入の目的が明らかになったら、専門業者に現地調査を依頼します。現地調査の主な目的は以下の通りです。
【目的】
現地調査の結果と希望条件を踏まえて、専門業者が最適な業務用エアコンの機種や設置場所を提案します。ただし、すべての業者が現地調査に対応しているわけではありません。選択ミスの可能性を減らしたい場合は、現地調査に注力している業者を選ぶことが大切です。
専門業者の提案を踏まえて、業務用エアコンの機種を選択します。以下のポイントを考慮することが大切です。
【考慮したいポイント】
最適な機種の選定には、専門知識が必要です。現地調査を依頼した業者に相談しながら、導入する機種を検討するとよいでしょう。
導入したい機種が決まったら、専門業者へ見積もりを依頼します。業務用エアコンの見積書に記載される主な項目は次の通りです。
【記載項目】
見積書をチェックするときは、各費用の内訳が記載されていることを確かめます。内訳がわからないと、金額を評価できないためです。また、設置工事後に不明瞭な費用を請求される恐れもあります。
見積内容と見積金額に問題がなければ、契約を締結して設置工事を行います。設置工事の流れは、倉庫の環境や設置する業務用エアコンなどにより異なります。基本的な流れは以下の通りです。
【設置工事の流れ】
冷媒ガスの回収には、第一種または第二種「冷媒フロン類取扱技術者」という資格が必要です。この作業が発生する場合は、有資格者が在籍している専門業者に設置工事を依頼しましょう。
設置工事の最終段階で、試運転を行い正常に動作することを確かめます。試運転を省くと、設置工事の不具合を見逃すことがあるため注意が必要です。また、不具合が発生したタイミングで、専門業者とトラブルになることもあります。引渡し前の試運転で、気になる点を解消しておくことが重要です。
今後の運用を見据えて、専門業者とメンテナンス契約を結びます。メンテナンス契約のメリットは以下の通りです。
【メリット】
冷媒ガスにフロンガスを使用している業務用エアコンは、法律に基づく点検が必要です。メンテナンス契約を結ぶことで法令点検にも対応できます。
本記事では、倉庫で使用する業務用エアコンについて解説しました。夏季の気温上昇に伴い、倉庫でも空調設備の重要性が増しています。適切な機種選定と正しい設置により、従業員の安全確保や製品品質の維持につながります。専門業者へ相談し、倉庫環境に適した業務用エアコンを導入しましょう。現地調査からサポートを希望される場合は、実績豊富なエアコン卸センターにご相談ください。
業務用エアコンの激安販売・取付・交換工事はエアコン卸センター
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この記事の監修者

物販、飲食、事務所など商業施設をメインに20年以上空調設備工事に携わらせていただきました。
近年の猛暑の影響もあり、インフラとしての重要性が益々高まってきております。
これまで培ってきたスキルと経験を元に、空調設備工事をより迅速により正確に行いたいと考えております。