オフィスや店舗で業務用エアコンを選ぶとき、「馬力」という言葉をよく目にします。馬力が不足すると効率的に冷却できず、過剰だとコストの増加につながるため、正しく選定しなければいけません。
本記事では、業務用エアコンの馬力の基本やkWへの換算方法、業種別の最適な馬力選びなどを解説します。ぜひ参考にして、施設に最適な業務用エアコンを選んでください。
業務用エアコンの「馬力(HorsePower)」は、冷暖房の効きや電気代に直結する大切な要素です。家庭用とは異なり、店舗やオフィスなど広い空間を快適にするためには、適切な馬力を理解しておく必要があります。
ここでは、以下2つを取り上げます。
詳しく解説します。
馬力は本来は動力の大きさを示す単位で、業務用エアコンでは「冷暖房能力」を分かりやすく表すために使われています。ただし、実際の消費電力はkW(キロワット)で示されることが多く、1馬力あたりのおおよそのkWはメーカーや機種によって若干の違いがあります。下の表では一般的に使われる目安をまとめました。
馬力 | 冷房能力(kW) | 一般的な呼称 |
1.5馬力 | 約3.6kW | 40形/P40 |
2馬力 | 約5.0kW | 50形/P50 |
2.5馬力 | 約6.3kW | 63形/P63 |
3馬力 | 約7.1kW | 80形/P80 |
4馬力 | 約10.0kW | 112形/P112 |
5馬力 | 約12.5kW | 140形/P140 |
6馬力 | 約14.0kW | 160形/P160 |
カタログやWebサイトでは、馬力表記とあわせて「形番(40形など)」が記載されていることが多く、相互に換算して理解することが重要です。
1馬力でカバーできる面積は、おおむね6~8畳(約10~13平方メートル)ほどとされており、10坪で3馬力という目安が標準です。しかし、これは標準的な空間や利用状況を想定した場合の数値です。天井高が極端に高い場合や、外気温の影響を受けやすいガラス張りの空間などでは、もう少し馬力に余裕を持たせる必要があります。
一方、面積だけで馬力を決めてしまうと、実際の使用環境を考慮しきれないケースもあります。適正な馬力を選ぶには、広さと畳数の目安だけでなく、施設の用途や環境をあわせて検討することが大切です。
業務用エアコンは、適正な馬力を選ばないと空調効果やコスト面で多くのデメリットが生じます。ここでは、とくに注意すべき以下3つについて取り上げます。
それぞれ見ていきましょう。
馬力不足の状態で業務用エアコンを使用すると、冷暖房効率が大きく低下します。広い空間を十分にカバーできず、稼働時間が長引いて電気代がかさむだけでなく、室内温度のムラによる不快感も引き起こしがちです。さらに、エアコンが常に高負荷状態で動作するため、部品の摩耗が早まり、故障リスクが高まるおそれがあります。
とくにオフィスや店舗など、不特定多数が出入りする場所では「すぐに冷えない」「暖まりにくい」といった不満がクレームにつながる可能性も。適正馬力を選ぶことは、ユーザー満足度を左右する大きな要素といえます。
必要以上に馬力の大きいエアコンを導入してしまうと、性能が十分に発揮されない場合があります。たとえば、短いサイクルでのオン・オフを繰り返すため、運転効率が下がってしまい無駄な電力を消費することになります。
常に冷房や暖房のパワーを抑えなければならず、機器自体の寿命を縮める可能性もあるため、結果として維持費が予想外に膨らむケースも少なくありません。さらに、店舗やオフィスの規模に対して過剰な馬力を選ぶと、設置費や配管工事などの初期コストが高くなる点も見逃せないリスクです。
適正な馬力を選ばないと、導入後の運用コストが負担になるおそれもあります。たとえば馬力不足のエアコンでは、冷暖房の効きに不満が出て追加の空調設備を導入することになります。反対にオーバースペックの機器は、維持費や修理費が大きくなりやすく、冷房・暖房の稼働時間も過剰になりかねません。
さらに、何度も買い替えや部品交換を行えば、その都度工事費や稼働停止時間による売上減少など、多面的に損失を被ることになります。最初に適正な馬力を見極めることが、長期的なコスト削減への近道です。
業務用エアコンの電気代は、機器の性能だけではなく、使い方や環境の違いなど複数の要素が絡み合って決まります。
ここでは、とくに影響が大きい以下3つを解説します。
これらを理解することで、空調コストの節約や効率向上につながります。
インバーターとは、エアコンが必要とする電力をきめ細かく制御するための機能です。この技術が搭載されている機種は、室内温度が設定温度に近づくと自動的に出力を抑え、微調整しながら稼働を続けます。
一方、インバーターがないエアコンは「オン・オフ」の切り替えだけで動作するため、消費電力が急激に変動し、結果的に電気代が高くなる傾向があります。初期導入費はやや高めかもしれませんが、長期的な電気代削減につながるため、総合的に見るとコストパフォーマンスの高い選択肢といえるでしょう。
エアコンの稼働時間が長ければ長いほど、電気代は増加します。業務用エアコンは大空間を冷暖房する分、家庭用以上に電力を消費するため、必要のないときは運転を切り替えるなどの工夫が欠かせません。
また、設定温度も大きなポイントです。冷房時に1℃低くし、暖房時に1℃高く設定するだけで消費電力が上がり、月々の電気代が思いのほか膨らむことがあります。作業環境によっては機器や照明からの熱が加わり、室温が上がりやすいケースもあるため、必ずしもほかの施設と同じ温度設定で最適とは限りません。
メンテナンスが行き届いていないエアコンは、フィルターの目詰まりや内部の汚れが原因で熱交換効率が低下しやすくなります。とくに飲食店や美容施設では、空気中に含まれる油煙やホコリなどがフィルターや熱交換器に溜まりやすく、放置すると運転効率を大きく損ねる要因となります。
また、定期的にファンや熱交換器の洗浄をしておかないと、負荷がかかる運転を続けることになり、結果として電気代も高くなるでしょう。反対に、清掃や部品交換をこまめに行うことで機器の性能が保たれ、適正な馬力でも快適な室温をキープしやすくなります。
業務用エアコンを導入する際は、業種や施設の特性に合わせた馬力を選ぶことが大切です。ここでは、以下4つを解説します。
施設 | 馬力の目安(10坪あたり) |
オフィス・事務所 | 3~4馬力 |
商業施設・店舗 | 3馬力 |
理容・美容施設 | |
飲食店 | 4~5馬力 |
それぞれ見ていきましょう。
広さ目安 | 場所 x 広さに対応する馬力 |
---|---|
17~38㎡(5~11坪) | 1.5馬力 |
20~43㎡(6~13坪) | 1.8馬力 |
22~48㎡(7~15坪) | 2馬力 |
24~53㎡(7~16坪) | 2.3馬力 |
27~60㎡(8~18坪) | 2.5馬力 |
35~70㎡(11~21坪) | 3馬力 |
49~107㎡(15~32坪) | 4馬力 |
61~133㎡(18~40坪) | 5馬力 |
70~152㎡(21~46坪) | 6馬力 |
108~208㎡(33~63坪) | 8馬力 |
141~256㎡(43~77坪) | 10馬力 |
パソコンや照明など、機器が発する熱の影響を無視できません。さらに、人の出入りが少ない場合でも、スタッフが常時滞在するため、冷暖房の効き具合が作業効率にも影響を与えます。おおむね10坪あたり3~4馬力が目安とされていますが、機器類の発熱量やレイアウトによって若干の調整が必要です。
また、大きな窓からの日差しが強い部屋や、パーテーションによる空気の流れの妨げがある空間では、やや大きめの馬力を検討することも一案です。スタッフが快適に働ける環境を整えることは、業務効率やモチベーション向上にも役立ちます。
広さの目安 | 場所 x 広さに対応する馬力 |
---|---|
22~25㎡(7~8坪) | 1.5馬力 |
24~28㎡(7~8坪) | 1.8馬力 |
28~31㎡(8~9坪) | 2馬力 |
31~35㎡(9~11坪) | 2.3馬力 |
35~39㎡(11~12坪) | 2.5馬力 |
44~50㎡(13~15坪) | 3馬力 |
62~70㎡(19~21坪) | 4馬力 |
78~88㎡(24~27坪) | 5馬力 |
89~100㎡(27~30坪) | 6馬力 |
94~142㎡(28~43坪) | 8馬力 |
119~178㎡(36~54坪) | 10馬力 |
来客の出入りが頻繁にあるため、外気温や人の往来による室温の変化が大きいのが特徴です。10坪あたり3馬力程度を目安とすることが多いですが、商品陳列のレイアウトや店内に配置されるショーケース・照明などからの発熱も考慮しなければなりません。とくに大型施設の場合は、複数台の業務用エアコンをゾーンごとに配置して温度差を抑える対策が有用です。
また、店内に人が密集しやすいコーナーがあれば、その部分だけ強化する工夫も必要です。適切な馬力と配置を選ぶことで、快適なショッピング環境を維持しやすくなります。
広さの目安 | 場所 x 広さに対応する馬力 |
---|---|
14~17㎡(4~5坪) | 1.5馬力 |
16~20㎡(4~6坪) | 1.8馬力 |
17~22㎡(5~6坪) | 2馬力 |
19~24㎡(5~7坪) | 2.3馬力 |
22~27㎡(6~8坪) | 2.5馬力 |
28~35㎡(8~10坪) | 3馬力 |
39~49㎡(11~14坪) | 4馬力 |
48~61㎡(14~18坪) | 5馬力 |
55~70㎡(16~21坪) | 6馬力 |
77~97㎡(23~29坪) | 8馬力 |
97~122㎡(29~36坪) | 10馬力 |
ドライヤーやパーマ機器など、熱を発生させる機材を使用する機会が多くあります。また、薬剤やヘアスプレーの使用により、空気が汚れやすいことも特徴の1つです。一般的には10坪あたり3馬力ほどが目安とされます。しかし、同じ床面積でも席数が多い場合や、連続してドライヤーを使用するスペースでは、より大きめの馬力を検討してもよいでしょう。
さらに、髪の毛やスプレー成分がフィルターや内部に詰まりやすい環境のため、こまめな清掃やメンテナンスが一層重要です。適正馬力と清潔な空調環境を保つことが、顧客の居心地とスタッフの作業効率を高める鍵となります。
広さの目安 | 場所 x 広さに対応する馬力 |
---|---|
11~21㎡(3~6坪) | 1.5馬力 |
12~24㎡(4~7坪) | 1.8馬力 |
14~26㎡(4~8坪) | 2馬力 |
15~29㎡(5~9坪) | 2.3馬力 |
17~33㎡(5~10坪) | 2.5馬力 |
22~42㎡(7~13坪) | 3馬力 |
30~59㎡(9~18坪) | 4馬力 |
38~74㎡(11~22坪) | 5馬力 |
43~74㎡(13~22坪) | 6馬力 |
61~111㎡(18~34坪) | 8馬力 |
76~126㎡(23~38坪) | 10馬力 |
調理による熱や蒸気、油煙などが大きく室温に影響を与えます。飲食店では10坪あたり4~5馬力程度を目安とします。とくに焼き肉や鉄板焼きといった高温調理を行う業態では、厨房や客席からの熱が大きいため、より強力な馬力設定が必要です。
また、ランチタイムやディナータイムなど、ピーク時の来客数を想定して馬力に余裕を持たせる必要があります。加えて、油煙がフィルターや熱交換器に付着しやすく、メンテナンスを怠ると冷暖房効率が急速に低下する点にも注意が必要です。快適に食事を楽しめる空間作りが、リピーター獲得や評判向上につながる大切な要素となるでしょう。
業務用エアコンを導入する際は、単に広さや人数だけで判断すると失敗しがちです。ここでは、見落としがちな4つを確認します。
細かな点を押さえることで、長期的なコストや快適性の確保に大きな違いが生まれます。
業務用エアコンの効果を最大限に発揮させるためには、まず建物の構造や部屋の配置を把握することが欠かせません。天井の高さや壁・窓の断熱性能、また窓の向きや日差しの強さなどによっても、必要な馬力は変わってきます。たとえば南向きに大きなガラス面がある場合、夏場は日差しで室温が上昇しやすく、よりパワフルな冷房能力が求められます。
また、間仕切りやパーテーションの位置が空気の流れを妨げていれば、冷暖房効率が下がる可能性も。レイアウトに合わせて室内機の位置や台数を最適化すると、適正馬力のエアコンでも十分な冷暖房効果を得られるでしょう。
新規導入だけでなく、既存のエアコンを活用するケースでは、まず現在の馬力が適切かどうかを見直しましょう。もし馬力が不足していれば、部屋の冷暖房効率が低いまま電気代だけがかさむ事態を招いているかもしれません。
反対にオーバースペックのエアコンは、立ち上がりが速い反面、短時間でのオンオフを繰り返すため、機器の寿命を縮めるリスクがあります。また、長く使い続けている場合は、フィルターや内部の汚れ具合、冷媒ガスの状態なども確認しておきましょう。
どのような人数や使用目的で空間を利用するかも、馬力選定に大きく影響します。オフィスの場合は常にスタッフが在籍してパソコンからの熱が発生しますが、来客の出入りは比較的少ないかもしれません。
一方、商業施設や飲食店など、不特定多数が頻繁に出入りする環境では、外気が入りやすく室温変動が激しくなります。理美容室ではドライヤーやパーマ機器などが発生させる熱も考慮しなくてはなりません。人の滞在時間や作業内容、季節による温度差などを総合的に把握することで、どれほどのパワーが必要なのかを正確に見積もれます。
エアコンの導入や買い替えは大きな投資であるため、今後の事業展開や施設の利用形態にも目を向けておくことが大切です。たとえば、近い将来に増床やリフォームを検討している場合、現在の面積だけで馬力を決めてしまうと、再度エアコン設備を見直すコストや手間が生じるかもしれません。
反対に、今後客数が減る見込みがある場合は、過剰な馬力のエアコンを導入してしまうとランニングコストが無駄にかかります。将来の需要に合わせて多少余裕を持たせつつ、過剰な投資は避けることが賢明です。
業務用エアコンの馬力選定は単なる面積計算だけでなく、建物の構造や使用条件・業種特性など、多角的な視点から行うことが重要です。適切な馬力選定が快適性と経済性の両立につながります。まずは専門スタッフへのご相談から始めてみてください。
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