業務用エアコンが普及するなか、同じ製品と認識されやすい“設備用エアコン”をご存じでしょうか。
名前は知っていても、両者の明確な違いについてはあまり知られていないのが現状です。
そこで本記事では、設備用エアコンと業務用エアコンの違いを、設備用エアコンの種類とともに解説します。
自社に最適なエアコンを導入し、業務効率を向上させるための参考となれば幸いです。
設備用エアコンとは、工場や倉庫、また機械室などの施設で使用されるエアコンのことです。
人が快適に過ごすためという目的よりも、広域な空間や高い熱量の環境の空調を適切に管理するために設置されます。
さらに、ホコリや油といった不純物が多い環境でも、安定して作動するよう設計されているのが大きな特徴です。
このように、特殊な場所や負担の大きい環境にも対応できる製品として設備用エアコンは役立っています。
ここからは、設備用エアコンと業務用エアコンの違いを、以下の3項目に分けて詳しく紹介します。
設備用エアコンと業務用エアコンの違い
設備用エアコンと業務用エアコンは、使われている材質や性能によって価格が異なります。
本体費用と工事費用の目安を、それぞれの特徴とともに以下の表にまとめました。
【設備用エアコンと業務用エアコンの価格の違い】
種類 | 設備用エアコン | 業務用エアコン |
室内機の材質 | 鉄板 | 樹脂 |
馬力の目安 | 5~10馬力 | 2~8馬力 |
本体費用の相場 | 40万~110万円 | 25万~80万円 |
工事費用の相場 | 15万~30万円 | 8万~20万円 |
設備用エアコンは広い空間での使用を目的としているため、高い馬力を搭載した製品がほとんどです。
馬力が大きくなると、太い配管や特殊な部材が必要になるケースがあり、価格が高くなります。
馬力とは、エアコンの冷暖房の強さを表すもので、“kw”という単位を使うこともあります。
1馬力は約2.8kwなので、2.8kwのエアコンを使用する場合に適した空間の広さは、8畳程度です。
また、業務用エアコンの材質は樹脂であるのに対し、設備用エアコンには鉄板が使われるため、耐久性の観点からも設備用エアコンのほうが価格は高くなりやすいといえます。
なお、製品の種類や設置業者によっても費用は変動するので、上記で紹介した金額はあくまでも目安としてお考えください。
設備用エアコンは大規模な場所に、業務用エアコンは小規模な場所への設置を目的としており、実際に設置される場所にも明確な違いがあります。
設備用エアコンは、工場の製造ラインや倉庫、機械室といった、広い空間や機械の熱で室温が上昇しやすい場所に設置されます。
そのほか、飲食店の厨房や学校の給食室をはじめとする火や油を使う場所も、設備用エアコンの高い冷却機能と耐久力を活かせる環境です。
一方で、業務用エアコンは小規模な事務所や店舗などに設置されます。
特殊な環境ではなく、事務所で働くスタッフや店舗に訪れるお客様が快適に過ごすための空調管理を目的としているためです。
設備用エアコンと業務用エアコンでは、選べる設置タイプが異なります。
設備用や業務用のエアコンを設置する場合の設置タイプは、主に以下の通りです。
【エアコンの設置タイプの種類】
業務用エアコンは上記すべての設置タイプに対応していますが、設備用エアコンは床置型と天井吊型の2種類にしか対応していません。
次項では、この2種類の設置タイプについて詳しく紹介します。
関連記事:業務用エアコンの種類を10種類紹介!特徴と選び方も解説
設備用エアコンを設置する際は、床置型と天井吊型のどちらかから選ぶ必要があります。
以下でそれぞれの特徴を解説しますので、導入先の空間に適した設置タイプを選ぶための参考にしてください。
以下の表は、床置型の特徴をメリットとデメリットとともにまとめたものです。
【床置型の特徴】
特徴 | メリット | デメリット |
室内機を床に直接設置する設置場所を選ばない温度にムラが出ない広い空間の空調を効率的に管理できる | 簡単に設置できる設置費用を抑えられるメンテナンスがしやすい天井クレーンに干渉しないスポットで送風できる | 床のスペースを取るごみやホコリが溜まりやすい配管が露出する |
床置型は、天井の強度や建物の構造に関係なく床に直接設置するので、床面にスペースがあれば簡単に設置できます。
上下で別の方向に送風する構造になっており、温度ムラが出にくい点も特徴です。
また、エアコン本体や配管などが天井クレーンに干渉しないので、このような機械設備を有する大規模な工場や倉庫に適しているといえます。
一方で、空気の通りを良くするために、室内機の設置部分だけでなく周辺にも十分なスペースを確保する必要があり、ほかの用途で使える空間が狭くなりがちです。
床面に溜まるごみやホコリを吸い込みやすいため、こまめなメンテナンスも必要になるでしょう。
次に、天井吊型の特徴についてもご確認ください。
【天井吊型の特徴】
特徴 | 設置するメリット | 設置するデメリット |
天井から室内機を吊るして設置する天井裏の空間が狭い場所にも設置できる高層階にも設置できる | 天井に大きな穴を開けずに設置できる空間を有効活用できる効率的に空気を循環できる | 設置費用が高い設置場所に制約があるメンテナンスがしにくい室内機や配管が露出して圧迫感を感じやすい |
天井から室内機を吊り下げるため、天井裏に十分なスペースが取れない場所にも設置できるのは大きなメリットです。
しかし、天井の強度が足りない建物や梁が多い空間では設置できない可能性があり、床置型と違って設置場所の制約を受けます。
設備用エアコンが大規模な空間や温度が上昇しやすい場所で導入されていることは、すでにお伝えした通りです。
よりイメージしやすいように、設備用エアコンの設置に適した具体的な場所と条件を、得られる効果とともに以下の表にまとめました。
【設備用エアコンの設置に適した場所と得られる効果】
設置に適した場所 | 効果 |
高温・多湿になりやすい場所 (倉庫・バックヤード) | 室温を安定させることで、品質や性能を確保できる |
塵や油が発生する場所 (金属加工・木工などの作業現場) | 防塵・防油対策によって長く安全に使用できる |
衛生管理が必要となる場所 (病院・検査室) | 清浄機能によって常に清浄な空気が保てる |
機械が密集している場所 (工場の製造ライン) | 室温の上昇を抑えて機械の故障や劣化を防ぐ |
電子機器が密集している場所(機械室・電気室) | 機器の性能を維持し、故障を防ぐ |
広い空間かつ人や機械が集まりやすい場所 (アミューズメント施設) | 広範囲に高い冷暖房効果が期待できる |
このように、設備用エアコンはさまざまな場所や条件に対応できるよう、多種多様な製品が展開されています。
導入する場所や目的が明確になれば、希望に合う製品が選定しやすくなります。
設備用エアコンの導入を決めたものの、「どのような製品を選んだらよいかわからない」「設置できる環境か判断がつかない」という事業者様も多いでしょう。
業務用エアコンの交換・設置工事の豊富な実績を持つエアコン卸センターでは、入念な現地調査を行ったうえで、最適な製品をご提案させていただきます。
設備用エアコンの選定には専門的な知識が必要になりますので、悩む前にぜひご相談ください。
本記事では、設備用エアコンと業務用エアコンの違いや種類について紹介しました。
設備用エアコンは、事務所や店舗で人が快適に過ごすために設置される業務用エアコンとは違い、工場や機械室などの特別な空間で使用するエアコンです。
高い冷却機能にくわえ、塵や油などの不純物にも強く設計されているので、食品工場や病院などでも導入されています。
床置型と天井吊型の2種類のタイプがあり、床のスペースや建物の構造によって最適な製品を選ぶ必要があります。
最適な空調機器と設置場所の選定に不安がある場合は、エアコン卸センターにご相談ください。
製品選びから取りつけ、またメンテナンスまで安心してお任せいただけます。
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この記事の監修者
物販、飲食、事務所など商業施設をメインに20年以上空調設備工事に携わらせていただきました。
近年の猛暑の影響もあり、インフラとしての重要性が益々高まってきております。
これまで培ってきたスキルと経験を元に、空調設備工事をより迅速により正確に行いたいと考えております。