業務用エアコンを処分したいものの、方法がわからない事業者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
家庭用エアコンとは異なるうえに、適切に進めなければ法的なトラブルに発展するおそれがあるため、処分方法はきちんと把握しておきたいところです。
そこで本記事では、業務用エアコンを正しく処分する方法と注意点を解説します。
事務所・店舗の移転や改装に伴い、業務用エアコンの処分に悩む事業者様は、ぜひ参考にしてください。
業務用エアコンを処分する際は、家庭用エアコンとは大きく異なり、より厳格な対応が求められます。
まずは、以下の注意点を押さえておきましょう。
業務用エアコンを処分する際の注意点
業務用エアコンの処分方法が異なる理由は、家庭用エアコンとは別の法律が適用されるためです。
家庭用エアコンは“家電リサイクル法”に基づき、一般廃棄物として区分されています。
したがって、自治体に認可された一般廃棄物処理業者へ回収依頼や、指定の引き取り場所に持ち込むなどの方法で、簡単に処分することが可能です。
一方、業務用エアコンは環境汚染の原因となる産業廃棄物と見なされるため、“産業廃棄物処理法“に基づき、処分方法が厳格に定められています。
また、業務用エアコンには、空気を冷却・加熱するフロンガスが使用されています。
フロンガスの排出は、オゾン層の破壊や地球温暖化といった悪影響をもたらすことから、“フロン排出抑制法”に基づいて、適切に処分しなければなりません。
このように、業務用エアコンの処分は、2つの法律で厳しく管理されているので、処分するまでにさまざまな手続きが必要になるのです。
産業廃棄物に区分される業務用エアコンは、自治体から許可されている“産業廃棄物処理業者”でなければ処分することができません。
さらに注意しておきたいのが、本体に残されたフロンガスを回収しなければならない点です。
産業廃棄物の処理と同様に、フロンガスの回収にも高い専門性が求められており、自治体に登録された“第一種フロン類充塡回収業者”への依頼が必要になります。
つまり、業務用エアコンの処分には産業廃棄物の処理とフロンガスの回収という2つの専門業者が関わることになるわけです。
いずれの作業も、専門知識や設備を持たない限り自力で行うことは難しいので、必ず専門業者に依頼してください。
業務用エアコンを、法律に定められた正しい方法で処分しなかった場合、刑罰の対象となります。
法規上、業務用エアコンの処分には産業廃棄物処理業者と第一種フロン類充塡回収業者による適切な対応が必要です。
万が一、正しい手順で適切な処分が行われなければ、専門業者のほか、処分を依頼した事業者自身にも刑罰が科されます。
たとえば、フロンガスを回収しないまま業務用エアコンを処分すると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
こうしたリスクを避けるためにも、正しい処分方法を把握したうえで、信頼できる専門業者に依頼することが重要です。
前項の注意点を踏まえ、ここからは業務用エアコンの処分に必要な以下の手順について、それぞれ詳しく解説します。
業務用エアコンを処分する手順
なお、これらの手順は法律で定められているため、いかなる場合でも入れ替えることはできません。
業務用エアコンを処分するにあたり、まずは一連の工程で必要となる書類を用意しましょう。
事業者が用意する書類は“マニフェスト(産業廃棄物管理表)”と“フロンガス行程管理表”の2点です。
マニフェストとは、業務用エアコンをはじめとする産業廃棄物の処分工程を明記し、適切に処分されているのかどうかを確認する書類のことです。
業務用エアコンの処分にあたり、産業廃棄物処理法によって発行が義務付けられており、作業完了後も5年間保存しておく必要があります。
一方、フロンガス工程管理表は、フロン排出抑制法に基づき、フロンガスの回収および処理が適切に行われているのかを記録し、証明する書類です。
作業完了後は、3年間の保存を要します。
なお、いずれの書類も紙・電子の2種類が存在し、関連する公益財団法人や一般財団法人などのホームページから入手することができます。
【参照元】
公益社団法人全国産業資源循環連合会
公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター
一般財団法人日本冷媒・環境保全機構
必要な書類を用意したら、次に第一種フロン類充塡回収業者にフロンガスの回収を依頼してください。
産業廃棄物処理業者に業務用エアコンを撤去してもらう前に、機器内のフロンガスを回収しておく必要があります。
フロンガスが適切に回収されたことを証明する“引取証明書”を第一種フロン類充塡回収業者から受け取ることで、産業廃棄物処理業者への依頼が可能となります。
なお、第一種フロン類充填回収業者をお探しの際は、環境省の「各都道府県の第一種フロン類充填回収業者登録簿」を参照しましょう。
参照元:環境省「各都道府県の第一種フロン類充塡回収業者登録簿」
フロンガスの回収が完了したら、産業廃棄物処理業者に本体の撤去を依頼できるようになります。
なかには、フロンガスの回収と本体の廃棄を一括で行う専門業者も存在します。
業務用エアコンの処分にかかる工数を抑えたい場合は、これらの作業をまとめて依頼できる専門業者に依頼するのがおすすめです。
業務用エアコンの処分で必要となる費用は、トータルで4万~16万円程度といわれており、その内訳は以下の通りです。
業務用エアコンの処分にかかる費用の内訳
これらの費用は、フロンガスの量やエアコンのサイズ・重量・設置環境などにより大きく変動します。
そのため、正確な金額を示すことは困難です。
なお、業務用エアコンを処分する費用は、業者の選び方を工夫することで、安く抑えられる可能性があります。
具体的な方法については後述いたしますので、引き続きご覧ください。
最後に、業務用エアコンの処分にあたって、作業を依頼する業者の選び方を、以下の4つに分けてご紹介します。
業務用エアコンの処分を依頼する専門業者の選び方
業務用エアコンを処分する際は、無料で見積もりを行ってくれる専門業者を選ぶのがおすすめです。
処分にかかる具体的な費用は、専門業者に現場を確認してもらわなければ正確に判断するのは困難です。
とはいえ、実際にどれくらいの費用が必要になるのかを把握しておきたい事業者様は多いのではないでしょうか。
見積もりが無料の専門業者に依頼すれば、相見積もりを取っても見積もり費用がかからないため、他社との比較・検討もしやすくなります。
なお、産業廃棄物処理業者と第一種フロン類充塡回収業者のいずれも、見積もり自体は無料で行っているのが一般的です。
しかし、業務用エアコンの設置状況や専門業者によっては、見積もりに費用がかかる場合もあるため、事前に確認しておくのがよいでしょう。
関連記事:業務用エアコンの修理にはいくらかかる?費用の相場を解説!
業務用エアコンの処分にかかる費用を抑えたい場合は、相見積もりを取り、比較・検討するのがおすすめです。
業務用エアコンの撤去およびフロンガスの回収費用は、専門業者によって異なるうえに、相場も把握しにくいのが特徴です。
そのため、1社の見積もりだけで判断すると、実際の相場以上の費用を請求されるおそれがあります。
こうしたリスクを抑えるには、見積もりは複数の専門業者へ依頼し、適正価格かどうかを判断することが大切です。
業務用エアコンの処分は、その手順が複数の法律によって厳格に定められているので、実績や評判を確認したうえで、作業を安心して任せられる専門業者に依頼しましょう。
たとえば、相場と比べて極端に安い費用を提示する専門業者は、むやみなコストカットにより、法令順守や安全への配慮が不十分である可能性があります。
事業者にとって費用を抑えられるのは大きなメリットである一方、依頼した業者が違法な処分を行った場合、依頼した事業者側も刑罰を科されてしまいます。
そのため、依頼する専門業者を決める際は、ホームページ上で、どれほどの施工実績があるのかを確認するのがおすすめです。
さらに、過去の利用者が投稿した口コミも確認することで、より正確な実態を把握できます。
業務用エアコンの処分にかかる手間を抑えたい場合は、フロンガスの回収および本体の撤去をまとめて依頼できる専門業者を選ぶのがおすすめです。
業務用エアコンの処分には、フロンガスの回収と業務用エアコンの撤去といった専門性の異なる作業を要するため、それぞれの専門業者に依頼しなければなりません。
そのため、費用の比較・検討や、実績の確認には時間がかかるほか、作業日程の細かな調整も必要です。
しかし、これらの作業を一括で担える専門業者に依頼すれば、さまざまな作業を要する業務用エアコンの処分を一気通貫で対応してくれるため、効率的に終えられます。
なるべく手間をかけず、迅速に処分したい事業者は、作業をまとめて引き受けてくれる専門業者に依頼しましょう。
今回は、業務用エアコンを処分する手順を、注意点とともに解説しました。
業務用エアコンは家庭用とは異なり、産業廃棄物と見なされるため、処分する際は専門業者への依頼が必要です。
また処分にあたり、業務用エアコンに内蔵されたフロンガスの回収も依頼しなければなりません。
処分を正しく行わなければ刑罰を科されるおそれがあるので、手順を確認したうえで適切に進めていきしょう。
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さまざまな作業を要する業務用エアコンの処分も、弊社がまとめてご対応します。
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この記事の監修者
物販、飲食、事務所など商業施設をメインに20年以上空調設備工事に携わらせていただきました。
近年の猛暑の影響もあり、インフラとしての重要性が益々高まってきております。
これまで培ってきたスキルと経験を元に、空調設備工事をより迅速により正確に行いたいと考えております。