
寒さが厳しい地域や積雪日数が多い地域で使用する場合は、寒冷地仕様の業務用エアコンの導入が有効です。標準仕様とは特性が異なり、厳しい環境でもトラブルを抑えながら安定稼働を期待できます。主な特徴として、暖房運転と霜取り運転を同時に行える点や、低温下でも高い暖房能力を発揮する点が挙げられます。光熱費を抑えやすい点も魅力です。本記事では、寒冷地仕様の業務用エアコンの概要や特徴、メリット、注意点を解説します。導入を検討している方は、事前に押さえておきましょう。
寒冷地仕様の業務用エアコンは、寒冷地での使用を想定して設計・製造された業務用エアコンです。簡単に説明すると、積雪や低温などによる故障を防ぐように設計されたもの、寒冷地で一定以上の暖房能力を発揮するものといえるでしょう。主な特徴は次の通りです。
【特徴】
標準仕様の業務用エアコンは寒冷地で十分な性能を発揮できない場合があります。暖房の効きが悪くなったり、霜取り運転の頻度が増えて暖房が停止しやすくなったりするためです。寒冷地で使用する場合は、寒冷地仕様を選ぶことが重要です。
寒冷地仕様の業務用エアコンは、一般的に以下の条件を満たす北緯37度以北および高冷地に適しています。
【条件】
あるいは「建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令における算出方法に係る事項」で、以下の地域などが寒冷地(地域の区分1~4)に指定されています(区分は都道府県内の地域により異なる。一部地域のみ区分1~4に指定されている都道府県もあり)。
【寒冷地】
出典:(pdf)国土交通省「建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令における算出方法に係る事項」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001385054.pdf
地域によっては、近畿以西でも寒冷地(地域の区分1~4)に分類されることがあります。ただし、寒冷地の定義はケースにより異なります。これらの定義とらわれず、実際の気候を踏まえて対応することも重要です。
寒冷地仕様の業務用エアコンの主な特徴は以下の通りです。
【特徴】
ここでは、これらの特徴について詳しく解説します。
標準仕様の業務用エアコンよりも、積雪対策が充実しています。雪が頻繁に降る地域、雪が積もる地域での使用を想定しているためです。具体的には、室外機に取り付けて雪の侵入を防いだり、熱交換器の凍結を防いだりする防雪フードを用意しているなどが考えられます。また、野外設備の耐久性も高めていることが一般的です。防雪対策を講じていない業務用エアコンを寒冷地で使用すると、故障や不具合のリスクが高まります。たとえば、室外機の熱交換器に雪が付着して、暖房能力が低下することもあります。積雪量が多い地域でも、安定して稼働するように設計している点が特徴です。
氷点下での使用を想定して、寒冷地仕様の業務用エアコンは凍結防止機能を搭載しています。具体例として、凍結防止塗装や凍結防止ヒーターが挙げられます。同ヒーターの主な目的は、室外機内部の凍結を防ぐこととドレン(結露水)の氷結を防ぐことです。このような機能を搭載していない業務用エアコンを寒冷地で使用すると、不具合や故障が発生しやすくなります。過酷な環境であることを踏まえて、適切な対策を講じている製品を選択することが大切です。
暖房運転を続けながら霜取り運転を行える点も、寒冷地仕様の業務用エアコンの特徴です。霜取り運転は、室外機に付着した霜を溶かす機能です。標準仕様の業務用エアコンは、暖房運転と霜取り運転を同時に行えません。霜を溶かすために、暖房に使用していた熱を室外機へ回すためです。
暖房運転を開始すると、室外機の熱交換器に霜が付着しやすくなります。取り込んだ熱を室内機の熱交換器に移動させるためです。標準仕様の業務用エアコンを寒冷地で使用すると、霜取り運転を頻繁に行わなければならないため室内を効率よく温められません。暖房運転と霜取り運転を併用できる点は、寒冷地仕様の業務用エアコンの強みです。
室外機が大きい点も特徴として挙げられます。以下の理由で、標準仕様の業務用エアコンより大きく設計されています。
【理由】
コンプレッサーは、冷媒ガスを圧縮して循環させる部品です。これらの取り組みにより、低温環境における暖房能力を高めています。なお、室内機のサイズやデザインは、標準仕様の
業務用エアコンと大きく変わりません。寒冷地仕様であっても、レイアウトで困ったり、エアコンが目立ったりすることはないでしょう。
寒冷地仕様の業務用エアコンを使用するメリットは以下の通りです。
【メリット】
これらのメリットについて解説します。
寒冷地に適した業務用エアコンを使用することで、光熱費を抑えられる傾向があります。余計な電力消費を減らせるためです。前述の通り、標準仕様の業務用エアコンを寒冷地で使用すると、霜取り運転を繰り返す、その間に暖房が停止するなどのトラブルが起こりやすくなります。無駄な動作が多いため、余計な電力を消費してしまいます。想定通りに稼働する寒冷地仕様の業務用エアコンのほうが、光熱費を抑えやすいといえるでしょう。
寒冷地仕様の業務用エアコンも、標準仕様と同じくさまざまな機能を搭載しています。主な機能は以下の通りです。
【主な機能】
寒冷地でも、夏場に猛暑日を観測する日が増えています。また、PM2.5や花粉に悩まされることもあります。さまざまな用途に活用できる点も魅力です。
寒冷地仕様の業務用エアコンは電気で稼働します。灯油を使用する暖房器具から切り替えると次の変化が生じます。
【生じる変化】
重い灯油タンクを運ばなくてよい点は大きなメリットです。また、一酸化炭素が発生しないため換気の頻度も抑えられます。寒冷地仕様の業務用エアコンに切り替えることで、快適性を高められるでしょう。
寒冷地仕様の業務用エアコンには、以下の注意点もあります。
【注意点】
設置時に注意したいポイントを解説します。
標準仕様の業務用エアコンよりも、初期費用は高くなる傾向があります。寒冷地で一定以上の暖房能力を発揮する、寒冷地での使用に適した機能を搭載するなどの取り組みを行っているためです。具体的な初期費用は、製品や購入する店舗で異なります。見積もりをとってから選択することが重要です。また、使用する環境、必要な機能などを考慮しなければならないため、製品選びも標準仕様の業務用エアコンより難しいといえます。サポートが必要な場合は、専門業者へ相談することをおすすめします。
寒冷地仕様の業務用エアコンは、定期的なメンテナンスが欠かせません。構造が複雑な製品を、過酷な環境で使用するためです。必要なメンテナンスを怠ると不具合や故障が発生しやすくなります。たとえば、ドレンホースが詰まると、室内機から水漏れすることがあります。詰まりの主な原因は、業務用エアコン内に溜まったホコリです。定期的なメンテナンスで、詰まりを防げる可能性があります。適切な管理を心がけることも重要です。
設置方法を誤ると、高性能な製品であったとしても業務用エアコンの性能を十分に発揮できません。故障の原因になることもあるため注意が必要です。設置するときに気をつけたいポイントを紹介します。
【注意点】
実績豊富な専門業者であれば、以上の点などを踏まえて設置してくれます。
本記事では、寒冷地仕様の業務用エアコンについて解説しました。寒冷地仕様の業務用エアコンは、低温環境や積雪に対応し、高い暖房性能を発揮する製品です。暖房と霜取りを同時に行える点など、寒冷地ならではの機能を備えています。寒い地域で使用する際は寒冷地仕様を選ぶと、安定稼働と光熱費抑制が期待できます。専門業者へ相談し、環境に合った製品を選びましょう。
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この記事の監修者

物販、飲食、事務所など商業施設をメインに20年以上空調設備工事に携わらせていただきました。
近年の猛暑の影響もあり、インフラとしての重要性が益々高まってきております。
これまで培ってきたスキルと経験を元に、空調設備工事をより迅速により正確に行いたいと考えております。