
業務用エアコンを天井に設置すると、室内のスペースを有効活用できるうえ、スッキリとした見た目を維持できます。設置環境や設置目的によっては、有力な選択肢になるでしょう。ただし、さまざまな種類があるため、形状の選択には注意が必要です。選択を誤ると、想定以上に費用がかかったり、設置できなかったりすることがあります。本記事では、天井に設置できる業務用エアコンを紹介するとともに、それぞれの特徴、メリット、デメリットを解説します。自社に適した業務用エアコンを見つけたい方は参考にしてください。
天井埋込カセット形は、本体を天井に埋め込み、化粧パネルだけを露出させた業務用エアコンです。具体的には、以下の種類に分かれます。
【天井埋込カセット形の種類】
ここでは、各種類の特徴とメリット、デメリットを解説します。
4方向に風を送る天井埋込カセット形の業務用エアコンです。最も一般的な形状と考えられています。本体と配管類を天井裏に収めているため、スッキリした見た目になります。化粧パネルのデザインや機能も充実している傾向があります。具体的には、人感センサー、自動掃除機能などを搭載しているものがあります。能力や機能のバランスがよい業務用エアコンといえるでしょう。
4方向に風を送るため、他の形状に比べると温度のムラは生じにくいといえます。部屋の温度を均一に保ちたいケースに向いています。天井に本体や配管を埋め込むため、部屋の雰囲気を乱すことはありません。化粧パネルにさまざまなデザインがある点もポイントです。また、幅広く流通していることから、製品の選択肢も豊富にあります。空気清浄機能、風向自動調整機能など、細かなニーズに応えられる機能を搭載している製品が多い点も魅力です。
天井裏に本体や配管を収めるためのスペースが必要です。十分なスペースを確保できない場合は設置できません。天井に穴を開けなければならない点にも注意が必要です。複雑な工事を必要とするため、天井吊形などに比べると設置工事費用は割高になることが多いでしょう。メンテナンス費用についても同様です。また、機能面では、天井が高いと足元に風が届きにくい傾向があります。
2方向に風を送る天井埋込カセット形の業務用エアコンです。天カセ2方向などとも呼ばれています。本体を天井に埋め込むため、長方形の化粧パネルだけが露出します。照明のラインに沿って設置できる点が特徴といえるでしょう。化粧パネルの選択肢も豊富です。ホワイトはもちろんブラウンなどの化粧パネルを選ぶこともできます。主な設置場所は、廊下、店舗、会議室などです。
前後または左右に風を送るため、廊下などの細長い空間を効率よく冷やしたり温めたりできます。設置環境によっては、優れた冷暖房効果を発揮します。長方形の形状を活かし、照明のラインに沿って設置できる点も魅力です。化粧パネルのデザインも豊富にあることから、デザイン性を重視したいケースにも適しています。部屋の雰囲気を損なわずに、業務用エアコンを設置できます。
天井埋込カセット4方向吹出形に比べると、風を送れる方向は制限されます。設置環境を踏まえて選択することが重要です。また、製品によっては、サイズが大きいものもあります。本体を設置する天井裏のスペースも確認が必要です。設置工事費用やメンテナンス費用が割高になりやすい点も気をつけたいポイントとして挙げられます。屋根裏での作業を必要とするため、工事やメンテナンスに一定の手間がかかります。
1方向に風を送る天井埋込カセット形の業務用エアコンです。天カセ1方向と呼ばれることもあります。本体を天井に埋め込むため、長方形の化粧パネルだけが露出します。化粧パネルのデザインには、複数の選択肢があります。室内空間を広く使える点やスッキリした見た目を維持できる点が特徴です。
風を1方向だけに送るため、壁際に設置すると部屋を効率よく温めたり冷やしたりできます。設置スペースが部屋の隅などに限られる場合に向いています。オプションを利用して、周囲より一段低くなっている下がり天井に設置できる点もポイントです。前吹き、下吹きのいずれかを選択することもできます。特徴を理解すれば、さまざまな目的で活用できる形状です。
風を送る方向が、1方向に限定されます。風が届きにくいエリアが生じます。馬力のバリエーションが少ない点にも注意が必要です。設置環境によっては、馬力不足を感じる恐れがあります。天井裏に設置スペースが必要、天井に穴を開けなければならない、設置工事費用やメンテナンス費用が割高などのデメリットは、他のタイプと基本的に同じです。
風を8方向に送れる天井埋込カセット形の業務用エアコンです。ここでいう8方向は、360度と言い換えられます。業務用エアコンを起点として、周囲にムラなく風を送る点が特徴です。本体を天井に埋め込むため、部屋からは化粧パネルしか見えません。天井埋込カセットラウンドフローの化粧パネルにも、さまざまなカラーが用意されています。また、人感センサーや床温度センサーなど、プラスαの機能も豊富です。
風を8方向へ送れるため、部屋を均一に温めたり冷やしたりできます。製品によっては、センサーを活用して温度のムラを軽減することも可能です。快適性の高い天井埋込カセット形の業務用エアコンといえるでしょう。また、化粧パネルに複数の選択肢があるため、部屋のインテリアにマッチするものを選べます。デザイン性を重視したい場合にも向いています。
天井が高いと足元に風が届きにくいことがあります。この点を除けば、機能面・性能面に目立ったデメリットはありません。一方で、本体購入費用、設置工事費用は割高になる傾向があります。予算内に収まることを確認してから設置することが重要です。また、他のタイプと同じく、天井裏に設置スペースを必要とします。建物の構造によっては設置できないことがあります。天井に穴を開けなければならない点にも注意が必要です。
続いて、天井埋込ダクト形の業務用エアコンの特徴、メリット、デメリットを解説します。
天井埋込ダクト形は、本体を天井に埋め込み、ダクトを使用して吹出口と吸込口を分離する業務用エアコンです。本体とは別の場所に、吹出口と吸込口を設置できます。これらのデザインに、さまざまな選択肢がある点もポイントです。また、部屋から本体を完全に隠せます。天井埋込カセット形よりも、スッキリした見た目を実現しやすいといえるでしょう。
部屋のレイアウトなどにあわせて吹出口と吸込口を設置できます。本体も隠せることから、業務用エアコンの存在感を抑えられます。インテリアを損なわずに設置できる点が魅力です。また、吹出口の設置場所を調整できるため、コの字型やL字型など、変形した部屋でも温度のムラを最小限に抑えられます。ダクトを分岐させて、複数の部屋に対応することも可能です。
複雑な工事を要するため、他の形状に比べて設置工事費用は割高です。また、天井裏に設置スペースを確保する必要があります。本体が天井に隠れるため、メンテナンスに手間とコストがかかる点もポイントです。イニシャルコスト、ランニングコストとも割高になることがあります。かかる費用を確認してから選択することが重要です。
続いて、天井吊形の業務用エアコンの特徴、メリット、デメリットを解説します。
天井吊形は、天井から本体を吊り下げて設置する業務用エアコンです。天井裏に本体を収めるスペースがない場合でも設置できます。また、天井に大きな穴をあける必要はありません。吹出口の幅が広く、風量が大きい機種が多い点も特徴です。天井吊形は、学校や店舗などで多く利用されています。
遠くまで風を届けられるため、天井が高い部屋や奥行きがある部屋にも対応できます。天井の穴や天井裏のスペースを必要としない点もポイントです。設置工事にかかる手間と費用を抑えられる傾向があります。また、本体を天井から吊り下げるため、メンテナンスも天井埋込カセット形や天井埋込ダクト形に比べて行いやすいといえます。
天井から吊り下げるため、本体が目立ちます。基本的に、配管が露出する点にも注意が必要です。圧迫感が生じたり、インテリアにマッチしなかったりすることがあります。また、風量は大きいですが、一方向にしか風を送れません。設置する環境によっては、温度のムラが生じることも考えられます。周囲の環境との相性を考えて選択することが重要です。
続いて、ビルトイン形の業務用エアコンの特徴、メリット、デメリットを解説します。
ビルトイン形は、本体を天井に埋め込み、ダクトを使用して吹出口を分離する業務用エアコンです。吸込口は、本体に取り付けられています。この点が、天井埋込ダクト形との大きな違いです。本体1台につき2~4個の吹出口を設置できます。さまざまなデザインの中から吹き出し口を選べる点もポイントです。
本体を天井に埋め込むため、インテリアの調和を乱さずに設置できます。吹出口の形状を選べる点もポイントです。ホテルなど、デザイン性を重視したい建物で利用されています。また、吹出口を本体から離れた場所に設置できるため、変形した形状の部屋や間仕切りを設けた部屋などの冷暖房にも適しています。
天井裏に本体を設置するためのスペースを必要とします。環境によっては、希望通りに設置できないことがあります。設置工事費用が割高になる点にも注意が必要です。金額は、吹出口の数に比例する傾向があります。メンテナンス費用も割高といえるでしょう。基本的に、自社で対応することは難しいため、ランニングコストも確認しておきたいポイントです。
ここからは、天井に設置する業務用エアコンを選ぶときに意識したいポイントを解説します。
天井に設置できる業務用エアコンには、複数の選択肢があります。形状により、特徴や設置場所の条件は異なるため、これらを踏まえて選択することが大切です。参考に、天井埋込ダクト形と天井吊形を比較します。
| 項目 | 天井埋込ダクト形 | 天井吊形 |
| 設置条件 | 天井裏に本体を埋め込むスペースが必要 | 天井に本体を吊り下げるスペースが必要 |
| 特徴 | 吹出口、吸込口を本体から分離できる | 風量が大きい(遠くまで風を届けられる) |
たとえば、L字型の部屋であれば天井埋込ダクト形、天井裏に十分なスペースがない縦長の部屋であれば天井吊形が適していると考えられます。
業務用エアコンの機能もチェックしておきたいポイントです。ニーズに合っている機能を選ぶと快適性が高まります。主な機能の例は以下の通りです。
【主な機能】
オプションで必要な機能を追加できるものもあります。導入の目的を考えてから、業務用エアコンを選ぶとよいでしょう。
設置場所の広さに合わせて、業務用エアコンの馬力を選ぶことも大切です。用途によっても必要な馬力は異なります。たとえば、飲食店では、厨房の熱や換気の影響を考慮する必要があります。設置場所の広さと用途を踏まえた馬力の目安は以下の通りです。
| 馬力の目安 | 事務所 | 作業場 | 理美容室 | 飲食店 |
| 1.5馬力 | 5~11坪(17~38㎡) | 7~8坪(22~25㎡) | 4~5坪(14~17㎡) | 3~6坪(11~21㎡) |
| 2馬力 | 7~15坪(22~48㎡) | 8~9坪(28~31㎡) | 5~6坪(17~22㎡) | 4~8坪(14~26㎡) |
| 3馬力 | 11~21坪(35~70㎡) | 13~15坪(44~50㎡) | 8~10坪(28~35㎡) | 7~13坪(22~42㎡) |
| 4馬力 | 15~32坪(49~107㎡) | 19~21坪(62~70㎡) | 11~14坪(39~49㎡) | 9~18坪(30~59㎡) |
| 5馬力 | 18~40坪(61~133㎡) | 24~27坪(78~88㎡) | 14~18坪(48~61㎡) | 11~22坪(38~74㎡) |
| 6馬力 | 21~46坪(70~152㎡) | 27~30坪(89~100㎡) | 16~21坪(55~70㎡) | 13~22坪(43~74㎡) |
| 8馬力 | 33~63坪(108~208㎡) | 28~43坪(94~142㎡) | 23~29坪(77~97㎡) | 18~34坪(61~111㎡) |
最適な馬力は、さまざまな条件で変動します。詳しくは、専門業者にご相談ください。
本記事では、天井に設置できる業務用エアコンについて解説しました。天井埋込カセット形、天井埋込ダクト形、天井吊形など、天井に設置できる業務用エアコンには複数の種類があります。形状によって特徴や設置条件が異なるため、用途や建物構造に合わせて選ぶことが欠かせません。
選定が難しい場合は、専門知識を持つ業者に相談する方法もあります。29年以上の実績を持つ業務用エアコン卸センターであれば、設置環境に応じた提案が期待できます。
業務用エアコンの激安販売・取付・交換工事はエアコン卸センター
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この記事の監修者

物販、飲食、事務所など商業施設をメインに20年以上空調設備工事に携わらせていただきました。
近年の猛暑の影響もあり、インフラとしての重要性が益々高まってきております。
これまで培ってきたスキルと経験を元に、空調設備工事をより迅速により正確に行いたいと考えております。